今回は、基本ケア4要素のうち、「栄養」についてお伝えします。古くから伝わる【医食同源(いしょくどうげん)】という四字熟語をご存知でしょうか?この言葉には、「食事には、病気を治す薬と同じ効果があり、食事に注意することが、病気を予防する最善の策である」という意味が込められています。自立支援介護における栄養摂取の考え方は、この医食同源と似ています。自立の土台となる健康な体作りには、前回の「水分」同様に「栄養」も欠かせないという考えです。
具体的に自立支援介護では、高齢者の目標栄養量を1日1,500 kcal以上と定めています。本来は、体格や運動量が一人ひとり異なるため、必要な栄養量にも違いがあります。ただし、一人ひとりの適正量を導くことは容易でありません。そのため、大半の高齢者が、最低限必要とする栄養量を1日1,500 kcalとして、位置付けているのです。また、1,500 kcal以上とは、提供した栄養量ではなく、摂取した栄養量の値です。栄養価の高い食事を準備しても、食べていただけなければ意味がありません。
ところが、「若い頃に比べて、食が細くなった」と話す方が多くいらっしゃいます。実際、食事を準備しても、ご飯やおかずを少しずつしか召し上がらない方、病気や心理的背景により、食欲が減退する方もいらっしゃいます。理由を問わず、十分な栄養が摂取できなくなると、低栄養状態を引き起こし、次のような問題が発生します。
- 筋肉や骨の減少に伴う体重の減少、運動機能の低下
- タンパク質不足による皮膚の異常(褥瘡ほか)
- 免疫力の低下 など
いずれも自立支援に逆行する問題ばかりですが、逆に考えると、低栄養状態を引き起こさなければ、上記のような問題の発生を防ぐことが出来るのです。
そこで、サンアップルホームでは、低栄養状態を防ぐため、各専門職が力を合わせて1,500 kcal以上の栄養摂取に取り組んでいます。介護支援専門員による計画に基づき、看護職員が体調管理を行い、機能訓練指導員が食べやすい姿勢を利用者さんに助言します。生活相談員は、嗜好に関する情報収集を行い、管理栄養士や調理員は、献立や味付けを工夫するだけでなく、高カロリー食品や食べやすい食事形態の開発などに取り組みます。それらの後方支援を受け、実際の食事場面では介護職員が中心となり、食欲を刺激するように目の前でご飯やおかずを盛り付け、提供します。食欲が落ちた時は、原因を探り解決を図るという取り組みを繰り返し、行っているのです。全ては、【1日、1,500 kcal以上】の摂取のため、自立を支援するための取り組みです。
10月 | 自立支援介護とは何か? |
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11月 | 基本ケア①水分 |
12月 | 基本ケア②栄養 |
1月 | 基本ケア③排便 |
2月 | 基本ケア④運動 |
3月 | 基本ケア⑤まとめ |