今回は自立支援介護基本4要素のうち、「排便」についてお伝えします。
高齢者の排便において最も悩ましい問題は「便秘」です。便秘には様々な原因がありますが、高齢者の場合、加齢によって大腸の動きが鈍くなるという特徴があります。便の流れが滞ると水分が過剰に吸収され、便が硬くなります。その結果、更に便が出にくくなるという悪循環を生むのです。
その便秘を解決するために大切な要素が「運動(歩行)」と「水分」です。「運動(歩行)」は排便のメカニズムのひとつである「起立大腸反射」という働きを誘発します。この起立大腸反射とは、立ったり歩いたりすることで大腸が刺激されて、動きが活発になる反射のことです。これを利用し、大腸の動きを活発にするという仕組みです。
また、体内の水分が不足すると脱水状態となり、活動性が低下します。その他に大腸の中をスムーズに流れなくなった硬い便に水分を補い、柔らかくするという意味でも「水分」は大切な役割をもっています。それに加えて、水分と排便の関係で覚えておきたい反射が「胃・大腸反射」です。これは、空っぽの胃の中に冷たい水分を入れることで、胃が温度刺激を受けて大腸の動きを活発にする反射が起こるというものです。
朝起きたら特に冷たい水や冷たい牛乳を飲む。それにより大腸の動きが活発になり、その後朝食を食べることで便が出やすくなるのです。起きがけの一杯こそが、時間も手間もかからない便秘の特効薬です。
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2月 | 基本ケア④運動 |
3月 | 基本ケア⑤まとめ |